胃がんとの関係は?気になるピロリ菌の除菌方法

ピロリ菌の基礎知識


ピロリ菌という名前は今ではすっかり耳慣れたものになっています。これの正式名はヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)と言い、「ヘリコ」というのは「らせん」「旋回」の意味、「バクター」はバクテリア(細菌)の意味です。「ピロリ」は幽門(胃の出口)ということで、この名称になったようです。

普通は略名のピロリ菌で呼ばれています。この菌が発見されたのは1980年代ということで、人間の胃の中に住んでいます。にわかに注目されるようになったのは、ピロリ菌が胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因となっているのではないかということからです。

ピロリ菌の長さは4ミクロン、これが2~3回ゆるやかな右巻きねじれ状態になっています。片側(両側の場合もあり)にべん毛が4~8本生えています。ピロリ菌は胃の粘膜に生息することが多いのですが、粘液の下に生息することで胃酸の影響を逃れています。

胃酸から十二指腸を守るために十二指腸にも胃と同じような粘膜に置き換わっている部分があり、そのためここにもピロリ菌が生息しています。

ただ、そうであっても胃の強酸性の中で生きているのですから、ある意味驚異的な菌ということになるでしょう。なぜなら、胃の酸度はpH1~2であり、ピロリ菌が最適に活動する6~7 pHとはかけ離れていているからです。

基本的にピロリ菌は4以下では生きられないのですが、それで生きているのは、ピロリ菌の有する酵素(ウレアーゼ)のためです。この酵素は胃の尿素からアンモニアを作り、アンモニアはアルカリ性によって胃の強酸を中和させているのです。こうして胃や十二指腸の中で生きる珍しい菌となっています。